日本最古の消防署、高輪消防署二本榎出張所
東京消防庁 高輪消防署 二本榎出張所について
東京都港区、白金高輪駅にある「東京消防庁 高輪消防署 二本榎出張所」を訪問しました。昭和8年竣工(築90年)の現役の消防署です。
東京都選定歴史的建造物に選定されています。建物内部は、災害出場で見学できない場合を除き年中無休、無料で見学することができます。
鉄筋コンクリート造3階建ての建物に鉄骨造の望楼がのっています。高さはおよそ30m、建築当時は「岸壁の上の灯台」「海原をゆく軍艦」と謡われました。縦長の窓や、丸窓、大小様々な窓が設置されています。
随所に曲面を用いたデザインは、第一次世界大戦後ヨーロッパで興った当時最先端の建築思想(ドイツ表現主義)を取り入れたものでした。外壁を覆うクリーム色の磁気タイルと、腰壁に使われている花崗岩の切り出し積みが落ち着いたコントラストを演出しています。
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二本榎出張所 玄関
文字が右側表記というのもレトロ感漂います。ひさしや窓台は左官洗い出し仕上げで、玄関は御影石に木の扉でできています。
階段ホール 電灯
階段ホールには、昭和を感じるレトロな照明がありました。天井には3段のコーニス(柱の上部に施される水平な帯状の装飾のこと)が施されています。
階段
階段の床と腰壁には人造大理石とセメントを練って固めたものを研磨した、研ぎ出し仕上げで、左官職人の丁寧な仕事が施されています。
円形講堂
3階にある円形講堂は現在資料展示室になっています。8本の梁と10個の窓部アーチが一体になっています。大きな窓は外の様子が一目で見え、モダンでありながら機能性を備えたデザインになっています。
消防士の防火服変遷
鍵吐水
江戸時代に使われた手押しポンプです。江戸時代は、水を使って火を消すというより火の広がりを防ぐために、近隣の家屋等を破壊して消化するのが主流でした。鍵吐水の消化能力は限られていました。明治、大正でも用いられていました。
ガス燈
アールヌーボー風(19世紀末~20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心に流行した芸術様式)の照明は、既に電灯が普及していた当時、停電時の予備照明として設置されました。
火見櫓
かつて火見櫓として使用されてた部分で、消防署員ですら上る事はできません。かつては品川海が一望でき、停泊する大小の舟まで望めました。火見櫓の役割は終えてます。
すべり棒
出場の際、2階から車庫へ迅速に降りるために付けられた「すべり棒」です。ただ、すべり棒で降りても、階段で降りても、さほど時間は変わらず、すべり棒で降りると夜間だと怪我が多かった事から、現在は使用されていません。
消防ポンプ自動車
本格的な国産消防ポンプ自動車第一号です。1941(昭和16)年から1964(昭和39)年まで活躍していました。
設計者は越智操さんで、警視庁総監官房会計課営繕係にいたといわれています。工手学校(工学院大学)出身者でした。越智操さんについて資料は余り残っていませんが、昭和32年竣工の杉並公会堂の設計管理に名を連ねていたそうです。
東京消防庁 高輪消防署 二本榎出張所の詳細
所在 | 東京都港区高輪2-6-17 |
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電話番号 | 03-3473-0119 |
営業時間 | 9:30~11:30、13:30~16:00 |
休業日 | 年中無休 *災害出場などで見学できない場合あり |
料金 | 無料 |
アクセス | 都営浅草線高輪台駅から8分 |
東京消防庁 高輪消防署 二本榎出張所の地図
東京消防庁 高輪消防署 二本榎出張所を巡るお散歩コース
